スペイン紀行・・・その2

5月末のスペイン旅行の報告・・・その2のテーマは、私の専門である「住まいと風土」です。
地中海に面した国々には、白壁と赤瓦の街並みが多く見られます。スペインにもそんな街が多く、「我が街こそ、その代表」といった競い合いがあるそうです。
日本の観光客に知られているのは写真のミハスでしょう。
2014-06-14-1
このような街並みにあこがれて、日本の住宅デベロッパーが「地中海の街並み」などと、うたい文句に住宅分譲をしていることがあります。これはどんなものでしょう?
確かにミハスの街は美しい! 同じツアーの若いお嬢さんたちは感激です。

2014-06-14-2

2014-06-14-3
白壁と赤瓦の街並みは、そうすることが街並みを美しくするから・・・という意図で造られたものではありません。彼らには、家を造る材料がそれしかなかったのです。

2014-06-14-4

2014-06-14-5
山は石灰岩の岩に覆われ、大地は鉄分の多い赤土です。

2014-06-14-6

2014-06-14-7
赤土を焼きレンガを作り、それを積み上げ壁にし、その上に赤土を波型に焼成した瓦を載せます。レンガの壁には、山の石灰岩から作った漆喰を塗り、「赤い瓦と白壁の家」の完成です。
世界の家づくりは、ここスペインのような「石と土」と、日本のような「木と草」の、二つの文化圏に分かれています。
スペインの人々は、風土に合わせ自国の住文化を守ってきただけのことです。

2014-06-14-8

2014-06-14-9
日本の昔の木と草の家が廃墟になれば、自然に戻ります。スペインの家も同様です。
全行程2000km程のバスの車窓から、廃墟を解体して産業廃棄物にせずに朽ち果て, 自然に戻るに任せている家があちらこちらに見かけられました。

2014-06-14-10

2014-06-14-11
そんなスペインでも、安易な瓦で屋根をなし、白壁の補修にペンキ・・・という風景が見られます。
木と草の家作りから、工業製品の家作りが主体になった我が国では、もはや当たり前の光景ですが・・・!
今回の報告のトリの写真は、バルセロナの遠景です。

2014-06-14-12
奥の方にサグラダ・ファミリアが見えますが、街並みの景観を醜くしているのは、近代化による四角いビル郡だと感じますが、皆様はいかがでしょうか。

埼玉・木の家・つくり人:小山